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商標よもやま話 3「春の嵐と3つのビッグニュース」


商標よもやま話 3 「春の嵐と3つのビッグニュース」

 

 そろそろ桜が満開の季節である。一方、春は春の嵐という強風が吹き荒れる季節でもある。そのような春の嵐かなと思わせる3つの重大ニュースが入ってきた。いずれも、昨年以前から話題にのぼっていたものであるが、筆者には3つが一辺に来たなという感じがする。

 

1.「150年」ぶりの中央官庁(文化庁)の移転

 2016年3月22日付の新聞報道によれば、文化庁が数年以内に京都府へ全面移転されるとのことである。明治維新(1868年)から、なんと約「150年」ぶりの中央官庁の移転である。

 文化庁と言えば、著作権登録を所掌する役所である。商標弁理士は著作権登録の相談に応じることも多い。また、商標がマンガ等の著作物を含む場合、その著作権の存在の有無が気になるところである。ちなみに、昨年マスメディアを賑わせたオリンピックのロゴ問題も商標権の問題というよりは著作権の問題である。このような事情もあって、商標弁理士にとって、文化庁は電話問合せをする頻度において特許庁に次ぐ役所である。

 ところで、特許庁の電話対応が、ここ10年で非常にユーザーフレンドリーになったと感じる一方、文化庁著作権課の電話対応はなんとなくアンフレンドリー(user-unfriendly)な雰囲気を漂わせていると思うのは筆者だけであろうか。京都への移転(下洛か?上洛か?)を機に、文化庁がよりユーザーフレンドリーになることが期待される。

 

2.「45年」ぶりの商標審査基準の改正

 「大幅改定」の見出しの下、今回の商標の審査基準の改定を夕刊第1面のトップニュースで報じた新聞もある。しかし、「大幅改訂」と言っても、従来の商標実務の実質的運用が「大幅」に改定された訳ではなく、これまで内々に行われていた運用が、審査基準に明記されたに過ぎないと言ってよい。したがって、「大幅改定」というのは誤解を生みそうな表現である。

 ところで、筆者が感銘を受けたのは45年という年月である。話は飛ぶが、憲法は未だ改正されたことがなく、制定後70年を経て改正論議が喧しい。筆者は、法令等の改正が永年に渡って行われないことを批判するつもりはない。むしろ、いずれの法令等も解釈運用によってよく持ちこたえているな~と感慨深いのである。一企業内のビジネス方針とか社内規定とかは現実社会の激しい変化に対応するために、「朝令暮改」でよいこともあろうが、社会全体に大きな影響を与える国の法令等は信頼と安定性が必要とされ、朝令暮改という訳には行かないのであろう。ちなにみ、ウキペディア情報によれば、メキシコは408回、スイスは140回以上の憲法改正を行っているようである。国民性も影響するのであろうか。

 

3.「20年」ぶりのCTMの名称変更

 1996年に導入され、CTM(シーティーエム)の名称で親しまれて来た欧州共同体商標の名称等が、2016年3月23日より、以下のように変更される。Community(共同体)の名称が現実のEU(欧州連合)の実態にそぐわなくなったことが理由のようである。

 ・CTM(Community Trade Mark=共同体商標)

  ⇒EUTM(European Union Trade Mark=欧州連合商標)

 ・OHIM(Office for Harmonization in the Internal Market=欧州共同体商標意匠庁)

  ⇒EUIPO(European Union Intellectual Property Office =欧州連合知的財産庁)

 これに伴い、費用や手続き面における改正もなされている。このコラムで改正の詳細について逐一触れることはできないが、出願時の印紙代が以下のように改正されたことは実務上、留意すべき1点である。

 従来:3区分まで、1区分であろうが3区分であろうが同一の印紙代(900ユーロ)

 改正後:区分毎の印紙代(計算の仕方は、以下のとおり)

     1区分目は850ユーロ

     2区分目は900ユーロ

     3区分目以降は、900ユーロ+区分毎に150ユーロ加算

 

 筆者は一般企業のサラリーマンから商標業界に身を投じて約25年(四半世紀)になる。上記の3つのニュースに接して、商標業界の流れの変化を感じる今日この頃である。(文責 向口 浩二)

 

2016/04/04

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